第32回 パワーレンチ編
第32回目は、「パワーレンチ編」
パワーレンチとは、小さなトルクを大きなトルクに変換する遊星歯車機構を備えた省力工具です。
大径ボルトやナットの締付け、緩め作業に最適です。
パワーレンチは作業改善に役立ちます
●危険作業をやめたい(打撃スパナ・延長パイプの使用)
➡ラチェットハンドルで安全に入力ができます。
●騒音や振動の発生をなくしたい(インパクトレンチの使用)
➡遊星歯車機構により、騒音、振動のない作業ができます。
●電源やエアー源のないところで作業したい
➡手動入力のため動力源(電源、エアーコンプレッサー、油圧ユニット)は不要で
どこでも作業ができます。
【パワーレンチの原理】
パワーレンチ本体が回転しないように反力受で固定した
状態で入力軸を回転させると、遊星歯車機構により増幅
された力が出力軸に発生します(図は2段階増幅)。
遊星歯車機構は、3種類の歯車によって構成されています。
中心にある歯車を太陽歯車、太陽歯車のまわりにある複数の歯車を
遊星歯車と呼びます。
この2種類の歯車は内歯車の内部で回転します。
歯車にかかる力が分散されるので、耐久性、動きも滑らかでコンパクトな設計が可能です。
「入力トルク」×「レンチの倍率」=「出力トルク」
TONEでは、最大倍率36.6倍のパワーレンチがあり、
例えば200N・mの入力で7,320N・mの出力トルクが得られます。
リアルタイムに締付けトルクを測定・表示し、記録ができる
倍力機構付レンチ「パワーデジトルク」もあります。
【パワーレンチはこんなところで活躍しています】
機械産業、鍛圧金型、建築土木、自動車、造船所、プラントなどの大径ボルト・ナットの着脱で活躍
●機械組立て、基礎ボルト、大型チャックなど。
●ダイセット取付け、メンテナンスなど。
●仮枠の締付け、鉄塔基礎ボルトなど。
●大型車両ホイルナット、建機・重機の大型ボルトなど。
●船のエンジンボルトの着脱など。
●各種プラントの配管バルブ・フランジ、熱交換器の組立修理など。
【豆知識】
遊星歯車機構を利用している工業製品
・手動の鉛筆削り
・自転車の変速機(内装式)
・自動車の変速機
・遊園地の乗り物「コーヒーカップ」
・ハイブリッドカーのミッション機構
・電動ドライバーの出力とモーターをつなぐ機構